Digital Photograph Awards '07-'08
Esquire Japana Digital Photograph Awards '07-'08
「エスクァイア日本版 デジタル写真賞'07-'08」グランプリ発表!
デジタルが写真を超えていく。
2001年にスタートし、第7回目を迎えた「エスクァイア日本版デジタル写真賞」。応募者数約1,500人を迎え、約13,000点の作品が集まりました。多くの皆さまからのご応募ありがとうございました。全体的な印象としては、もはやデジタル、アナログといった境目は存在しないこと。そして、写真と定義される表現が拡大していること。この二つの点が特徴的でした。グランプリ作品をはじめ、全受賞作品から写真の新たな可能性を感じてください。
クローム襲撃#23
クローム襲撃#23
各賞紹介
グランプリ
審査員賞 選:伊藤俊治+審査員特別賞
審査員賞 選:後藤繁雄+やなぎみわ
審査員賞 選:エスクァイア日本版AD
動画賞
アマナ賞
クリエイティブ&コマース部門 パーカー賞
クリエイティブ&コマース部門 スターフライヤー賞
Photo&Blog部門 グランプリ
読者賞
「エスクァイア日本版デジタル写真賞'07-'08」を振り返って。
 


Grandprix Norihisa Hosaka
グランプリ
クローム襲撃#9
クローム襲撃#9
作品ギャラリーを見る
この作品は、デジタルカメラを使う意義を問い続けた一つの通過点である。 普段の当たり前の生活で通り過ぎている街、でもなくなるのも時間の問題とも感じている街、が撮られることによって、第三の街、を立ち上げる。僕にとっての初めての評価。スタートと思い、頑張っていきたい。  
Norihisa Hosaka
spacer.gif
Norihisa Hosaka/1968年東京都生まれ。明治薬科大学製薬学科中退。ゲームやITのフリーライター、 Webマガジンの編集などを経て、現在は薬局に勤務。写真を始めたと言えるようになって約4年。
審査員より
その都市はいったいどこなのだろうか。戦後のスラムの闇市のようにも見えるし、SF映画の未来都市のようにも見える。もちろんもともとは新宿なり渋谷なりの現在の街並みをベースにしたイメージなのだが、デジタル処理され、時間や角度を変えて何層にも重ねられ、いぶし銀のような輝きを放つようなったその光景はもはや実際の都市の肉を削ぎおとした不思議な場所の在りかを指し示している。しかも時制さえ不確かで、過去なのか未来なのか定かではない架空の都市なのだ。独特の光と翳の気配が新しい異郷と郷愁のイメージを醸成させている。
(伊藤俊治)
「写真は見えるものしか写らない」というのは正確ではない。「よい写真」は、見えるものと、見えないものの間に誕生するのだ。銀塩写真がいよいよ死滅をむかえる時に、都市の様相を撮った何枚もの写真を合成し、不可視を可視化した写真(それもモノトーンだ)があらわれたことの、驚きと必然を強く感じる。写真とは、都市が見る夢である。虚構のようでありながら、実人生を動かすもの。この写真は見事に、トーキョーを透視した!!
(後藤繁雄)
奇妙な既視感や郷愁を感じるのは、そのゴシック的な過剰さから、漫画やアニメで見た「首都の廃墟」のテイストが醸されているせいかもしれない。しかし一点一点に作者が高い完成度を求める心意気が感じられ、薄っぺらな廃墟嗜好とは一線を画す迫力がある。さらに点数を増やした豪華写真集で、または大判プリントの展示を見てみたい、と観賞者を貪欲にさせる作品。
(やなぎみわ)
グランプリの賞金として100万円が贈呈されます。
spacer.gif
Judge's Award by Toshiharu Ito,Judges' Special Award Shigeyasu Gushima
審査員賞+審査員特別賞 選:伊藤俊治/美術史家、東京藝術大学先端芸術表現科教授
Room Works #001
Room Works #001
作品ギャラリーを見る
私のPCのハードディスクの中でひっそりと埋もれていきそうだった(物質感のないデータとして存在していた)作品に光が当てられ、手に触れられる誌面や展示作品として多くの方に見てもらえる。作品に対して少しでも義務を果たせたかなと安堵しております。  
Shigeyasu Gushima
spacer.gif
Shigeyasu Gushima●1970年生まれ。'94年東京理科大学理工学部経営工学科卒業後、
金融機関勤務を経て、2000年IMI写真コース修了。現在フリーランス・フォトグラファー。
審査員より
薄暗い闇の中からぼぉっーと、存在感なく浮かびあがってくる人間たち、何かに没入し、一点を凝視し、憑りつかれたかのような表情と仕草を見せる人々。初めから種明かしをしてしまうと面白くないが、これらのポートレイトはみなインターネットに繋った作者のPCカメラにより、遠隔地でディスプレイに見入る姿を撮影された人々のものである。いわゆるテレプレゼンステクノロジーにより、あらたな次元のシャッターチャンスを待ち構えることが可能になった写真行為の本質がここには秘められている。モノクロームの薄明から、 まるで霊のように抜け出してくる、あてどない、匿名性にまみれた人物像は私達の時代の化身のようなものなのだろうか。
(伊藤俊治)
これも不可視を可視化したいという衝動が生み出した写真だ。インターネットは、世界を同期させ、未知の者たちの出逢いを加速する。「つながり」の向こう側。写真のデジタル化は、多くの新たな事態を引き起こしていく。写真から闇を追放したこともその一つだ。しかし、この写真は、ネットが生み出した闇をまたむき出しにする。これは、単純なアイデアだけでできた写真ではない。とてもたくさんのことを考えさせられた作品だ。
(後藤繁雄)
審査の結果、審査員賞に加え、審査員特別賞の受賞となりました。2つの受賞の賞金として15万円が贈呈されます。
spacer.gif
Judge's Award by Shigeo Goto & Miwa Yanagi Shimon Fukaya
審査員賞 選:後藤繁雄/編集人、クリエイティブディレクター 選:やなぎみわ/美術作家
夢「軍隊」
夢「軍隊」
作品ギャラリーを見る
様々な素材を使用し、絵を重ねることでどのような効果が発生するかということに興味を持っています。重ね絵は最も単純な加工技術ですが、表現の幅は大変広く、デジタルならではの特徴を強く反映するものだと考えます。今後も人々の目を楽しませる絵作りに励んで参りたいと思います。  
Shimon Fukaya
spacer.gif
Shimon Fukaya●1982年東京都生まれ。2003年育英工業高等専門学校デザイン工学科卒業。現在ハンガリーの国立モホリ・ナジ工業芸術大学形態設計学科に国庫補助生として在籍中。
審査員より
写真が今果たすこと。それは、「イメージ」「記憶」「生きるための現実の生成」と強く関係していると思う。写真は、ますますスリリングなアートフォームとなる。この不思議な写真が、なぜ僕を強く惹きつけるのか。実はそのことに興味がある。音のレイヤーが多層に重なり合い「意識の流れ」に感応するように、この写真も、僕らの中にたたまれている「他者」や「時代」を喚起する。写真のデジタル化が、写真のもつ潜在的な力をキックしているのである。
(後藤繁雄)
不思議なテクスチャーに惹き付けられた。どの作品も、凝った肌触りと色合いとのバランスが絶妙。東欧の冬の寂寥とした風景を彷彿とさせ、昔に見た不安で美しい夢や遠い記憶を思い出す。ふと通り過ぎる「匂い」のような捕らえどころのなさが魅力だが、できればもっと点数を作り、もう少し長く夢の中に留まらせてほしい。
(やなぎみわ)
審査員2名による審査員賞の受賞となりました。賞金として20万円が贈呈されます。
spacer.gif
Judge's Award by Esquire's AD Mayu Koizumi
審査員賞 選:桜井 久/エスクァイア日本版 アートディレクター
夜景
夜景
作品を見る
今回はこのような賞を頂き本当にありがとうございました。この作品は、いつも見ている電車からの風景をもっと違う形で記録できないかと思い作りました。これからも自分が美しいと思った物を大切に表現していきたいと思います。  
Mayu Koizumi
spacer.gif
Mayu Koizumi●1986年生まれ。 女子美術大学芸術学部メディアアート学科在学中。
2007年「アジアデジタルアート大賞」動画部門入賞。
 
審査員より
写真は前述の受賞作たちがずば抜けていて、それ以外の応募作品に目立つものがなかったのが残念。それで、動画を選びました。電車が通る夜の風景を写したものですが、ヨコをタテにしたら面白くなった、というような素人的な発想が好きです。画質が良いわけでも、技術が優れているわけでもない。でも純粋にキレイ。アナログっぽい印象もありますね。デジタルをしっかり理解しているほかの作品とうまく対比されていると思います。
審査員賞の賞金として10万円が贈呈されます。
spacer.gif
Motion Picture Award Yosuke Ashida x Kazuki Nakata
動画賞
"TIME SPREAD" -Conversation-
"TIME SPREAD" -Conversation-
作品ギャラリーを見る
複数の角度から同時に撮影した映像を静止画に分解し、時間の経過とともに過去の痕跡を残すフォト・コラージュとして展開させた作品です。デイヴィッド・ホックニーが意図したような時空間のコラージュを動画で再現してみたいと思いました。「時間の見方」を解釈できるような作品を、今後も展開していきたいと思います。  
Yosuke Ashida x Kazuki Nakata
spacer.gif
Yosuke Ashida●1980年生まれ。2003年上智大学哲学科卒業。「写真新世紀2006」「29回ひとつぼ展」など受賞。
Kazuki Nakata●1980年生まれ。プログラマー。上智大学化学科を卒業後、SEなどを経てホームページ制作会社に勤務。
審査員より
かつて大きな話題を呼んだデイヴィット・ホックニーのフォトコラージュのインタラクティブシネマ版といったらいいだろうか。五つの角度から同時撮影した映像を静止画分解して平面上に展開し、新しい映像の質を獲得することに成功している。時間的な経過のなかに空間的な奥行きが組み込まれているため、
マウスを動かしてゆくと平板で均質なイメージに様々な裂目が生じてゆくようでスリリングだ。そして忘れてはならない興味深いことは、そのキュービックなイメージの立体的連なりには、実は私達の肉眼運動そのもののズレや歪みが秘められているということだろう。
(伊藤俊治)
動画賞の賞金として5万円が贈呈されます。
spacer.gif
amana Award Kensaku Kakimoto
アマナ賞 選: 児玉秀明/アマナ 取締役、クリエイティブディレクター
エレベータードロップ
エレベータードロップ
作品ギャラリーを見る
映像の世界で培った粋みたいなものを写真の世界で表現してみたいと思いました。写っている被写体の強さがすべてだと思います。被写体であるMJ氏に心から感謝しています。撮影の時に出会った子供や、喜んでくれた粋な外国人の方々に何らかの方法で伝えたいです。  
Kensaku Kakimoto
spacer.gif
Kensaku Kakimoto●1982年香川県生まれ。中野裕之監督の下、助監督や制作ユニット「ピースブラザース」で活動。2005年、映画『COLORS』を制作。また映画『スリーピングフラワー』で劇場デビューを果たす。映画を中心にPVやCM、スチール、アートディレクションなど、多岐にわたりピースな作品を演出中。
審査員より
若者のどこにでもあるようなライフスタイルを独特なトーンと劇画タッチで描いたドラマチックな作品。デジタルが、ありふれた風景を作家の感性を通して非日常的で時間的な概念を越えたビジュアルに仕上げてある。まさに現代的でスピード感溢れる映画のワンシーンのようだ。
アマナ賞の賞金として50万円が贈呈されます。
spacer.gif
パーカー賞 選:小林賢太郎
夕日に向かって
夕日に向かって
作品を見る
写真は地元・手賀沼を散歩中に撮ったものです。白樺派の文人たちが住んでいた大正時代の手賀沼周辺は、北の鎌倉と言われたほど自然に恵まれた所だったようです。
この写真では、その頃の良き手賀沼を感じてもらえるでしょうか。
 
Masato Ijima
spacer.gif
Masato Ijima●1960年生まれ。アドバタイジング、グラフィックデザイナー。
「日本の自然を描く展」優秀賞、「関口芸術基金賞」入選、「我孫子市鳥の博物館2008年カレンダー」写真入選など。
審査員より
水面を鏡のようにして、実像と虚像を映し出しているのが面白い。応募作品の中で一番アイデアがキレていると思いました。矢印をテーマにした作品募集ということでしたが、点線を使ったものはこの作品だけでした。矢印にアクションがあって、立体的にも見えてくる。写真にテンポを感じます。ほかの作品
は無国籍的なものが多かったですが、これはアジア的、日本的というか、親近感のある風景。でも、物語を考える自由度が高いところが心惹かれました。
パーカー賞の賞金として10万円、 さらに賞品として、「デュオフォールド ブラックPT インターナショナル万年筆」が贈呈されます。
デュオフォールド ブラックPT インターナショナル万年筆

また、佳作の10名の方全員に、「エグゼクティブ・データ マルチファンクションペン」が贈呈されます。
spacer.gif
spacer.gif
スターフライヤー賞 選:小林賢太郎/舞台コント作家・コントユニット「ラーメンズ」メンバー
キリン
キリン
作品を見る
スターフライヤー賞の受賞、ありがとうございます。今後も技術を磨き、自分のイメージ、人の心をつかむ一瞬を写真で表現していくことに挑戦し続けます。  
Fumihiko Hosoo
spacer.gif
Junpei Ishikawa●1985年千葉県生まれ。東京工芸大学写真学科卒業。
審査員より
テーマが「白と黒」ということで、シャープな写真が多い中、この作品のボケ具合が目立ってました(笑)。本当はキリンが主役なんだろうけど、僕は雲が気になる。吹き出しに見えて、どんな言葉が入るかなどと考えてしまいます。それだけでなく、写っていない部分や見えないものまで想像させてくれる。
僕にとってのいい写真の条件とは、面白くて美しいもの、考える前に感じること。この作品はその二つをきちんと備えていますね。
スターフライヤー賞の賞金として10万円、さらに賞品として、羽田空港〜関西国際空港間の 航空券(1組2名)が
贈呈されます。また、受賞作品はスターフライヤー機内の座席ディスプレイで上映されます。
spacer.gif
フォト&ブログ部門 グランプリ
廃墟ディスカバリー
廃墟ディスカバリー
受賞ブログを見る
廃墟には演出のない生々しさがあります。穴の開いた屋根から入る優しい光、錆に錆を重ねた重厚な機械など、非日常的な現場の空気感と質感を大切に撮影してきました。ブログを更新するにつれて、見ている人には同じ探険気分、ドキドキを感じていただければ幸いです。  
Tetsuro Kobayashi
spacer.gif
Tetsuro Kobayashi●2004年「廃墟ディスカバリー」開設。「日本フォトコンテスト」デジタル部門で金賞受賞。廃墟関連書籍に写真提供多数。共著に『ニッポン地下観光ガイド』(アスペクト)がある。
審査員より
今回、選考の基準はメッセージ性。「このブログでどんなメッセージを見る人に伝えたいのか、が明確であること」とした。この『廃墟ディスカバリー』は廃墟をテーマに選んだことだけでも、消えゆくもの、朽ち果てていくものに対する作者のメッセージが込められている。問題意識をも駆り立てるこの作品は、最近目立つ“日記化”しているブログに共感するのとは異なる感動があった。
(富川淳子/エスクァイア日本版編集長)
フォト&ブログ部門グランプリの賞品として、ダイアローグ・ジャパンのノートPC搭載可動型ディスプレイ
「FLYBOOK VM シリーズ」が贈呈されます。
spacer.gif
読者賞
秋の香
秋の香
作品ギャラリーを見る
今春、引っ越す事になり、島根で過ごす最後の秋。そんな時に写した写真がこのような賞を頂き、記念に残るとともににとても嬉しく思っております。
更には、愛犬との写真に一票を投じてくださった方々に感謝しております。ありがとうございました。
 
Michiru Sakamoto
spacer.gif
Michiru Sakashita ●広島県生まれ。現在、島根県在住。
事務局より
今回で4回目の選出となる読者賞。今年度受賞された坂下さんの作品は、引っ越しが決まり、最後の秋となる島根の澄み切った空の下、ススキを背景に空を仰ぐように振り返る愛犬のさくらちゃんの様子を撮影されたものとのこと。心なしか彼女の表情からはどこか郷愁のような雰囲気を感じます。この写真に秘められた情感のようなものが、投票した人々の心に無意識のうちに響いたのではないでしょうか。
読者賞の賞品として、「エスクァイア日本版」の1年間定期購読が贈呈されます。

Copyright © 2007--2008 Esquire Magazine Japan co.,ltd. All Rights Reserved.